2012年12月05日

中村屋の思い出

2012-12-05 07.15.09.jpg今朝、テレビをつけた途端に中村屋さんの映像。それから訃報のナレーションがあるまでほんの少しの間だったんですが、ものすごく嫌な予感がしました。案の定……。重病説もありましたが、この人だけは絶対に復帰すると思っていました。まさに寝耳に水。

襲名以降でしょうか、いろいろと思うところがあって、だいぶ長い間中村屋さんの舞台には足が遠のいていました。まったくもって、後の悔い先に立たずです。

中村屋さんはコクーンや平成中村座ばかりが取り上げられますが、助六の通人なんてのも良かったですね。二枚目よりも三枚目寄り。色気があって軽妙で。

中村屋の思い出。
その昔、コクーンに『盟三五大切』が掛かったとき。
夜の部の当日券(立ち見席だったかな)を買うために、昼の部の開演前から並んでいたことがありました。
無事切符が買え、最初の幕間の時、劇場の係員の方が僕のところにやってきました。
「今日は朝早くからお並びいただきありがとうございました。勘九郎さんからです」と、この手拭いを渡してくれました。
生意気な大学院生もこれには感謝感激でした。

まだこれからいつだって観られると思っていたのに。あまりに早すぎますよ。

posted by 山崎達璽 at 12:44| 筆のすさび | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月02日

『ラストエンペラー』のいわゆる「南京虐殺」はカットされていなかった。

2012-12-02 19.42.18.jpg映画史に燦然と輝くベルナルド・ベルトルッチ監督『ラストエンペラー』。中学1年の頃に見て、明確に映画監督という役職(仕事)を意識して目指すようになった、僕にとっても記念碑的作品です。
その「コレクターズ・エディション」のBlu-rayが届きました。VHS→LD→DVDとメディアが進化するたびに買い揃えてきました。関連書籍も含めると、約25年間、もうこの映画にいくら費やしたか分かりません。

さて、本作は公開当時、いわゆる「南京虐殺」のシーンが配給会社の松竹富士によってカットされ、ずいぶん物議をかもしました。四半世紀が経った今、その顛末をネットで調べると、“カットされたまま公開された”との説、“抗議を受けて戻して公開された”との説があり、どう決着されたかはあまり伝わっていないようです。

『ラストエンペラー』蒐集家と申し上げましょう。
結論としては、「南京虐殺」についてはカットされないまま公開されています。これは監督が渋々編集したヴァージョンになります。

当時の報道から事実関係を追ってみましょう。(88/1/24朝日新聞など)

○1987(昭和62)年10月4日
第2回東京国際映画祭にてワールドプレミア上映。
“興行主を含む映画業界人”から、戦犯となった溥儀が記録映画を見せられるシークエンスが“刺激的すぎる”と問題となる。
松竹富士はこれを受け、一連の「南京事件」「人体実験」「アヘン栽培」(計40秒弱)の部分をカットする。

○11月上旬〜
プレス試写。

○12月1日
カットのことが監督の耳に入り、“日本の事情を鑑み自分で処理したい”との連絡。

○12月24日
「人体実験」「アヘン栽培」(計18秒)をカットした修正版が届く。

○1988(昭和63)年1月20日
松竹富士が監督に謝罪して、修正版での上映を受け入れる。

○1月23日
修正版で日本一般公開。 

つまり、「南京虐殺」についてはそのまま、その後に続く「人体実験」「アヘン栽培」はカットして公開したのが、当時の日本の事情と監督の妥協線だったようです。
その後、1988(昭和63)年8月6日にビデオ発売、1989(平成元)年4月3日にはテレビ放映されましたが、上記の修正版のままでした。
元の状態に戻されたのは、ほとぼりが冷めた2001(平成13)年6月21日のDVD発売が初めてだと思われます。
以降は、2008(平成20)年6月13日の「ディレクターズカット」DVD、2012(平成24)年11月2日の「コレクターズ・エディション」Blu-rayもオリジナルで収録されています。

ちなみに本作には163分と219分の2ヴァージョンがあります。
前者は劇場公開版。厳密にはこれにも日本のみで公開されたヴァージョンが存在しているわけですが……。
後者については、「オリジナル版 3時間39分」「ノーカット版」「ディレクターズカット版」など様々に呼ばれていますが、元々テレビのミニシリーズをも意図して作られているので、「テレビ版」が正しいと思います。


posted by 山崎達璽 at 20:31| 蒐集癖 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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