2010年12月25日

『メトロポリス』(27)

SF映画史に燦然と輝く歴史的名作『メトロポリス』(独)。完成したのが1927年。日本公開は1929(昭和4)年。完成時は150分ぐらいだったと言われる。しかし興行が危ぶまれ、その後、内容はズタズタに再編集されてしまった。
後年、フリッツ・ラング監督は「なぜみんな、あの映画に執着するのかね。もはやどこにも存在しないのに」と語ったとか。この言葉ほど『メトロポリス』の魅力を如実に表したものはない。もはやその完全版は存在しない。だからこそ人々は『メトロポリス』を追い求めるのだ。

僕がこの作品を初めて観たのは1985(昭和60)年1月。小学4年生の頃だ。ジョルジオ・モロダーが復元・再編集して前年に米国で公開された。この、いわゆる「モロダー版」は全編に着色が施され、フレディ・マーキュリーらによるロックのサントラが乗せられている。僕が初めて一人で映画館で観た映画がこれだ。その時はただSF映画として楽しんでいた(?)と思うが、中学の頃にたまたまレンタルビデオ店で見つけて、それから異常なくらい執着し始めた。
まずサントラを買った(これが初めて買ったCD)。続いて新翻訳で刊行された原作本を買った→1988(昭和63)年。それからしばらくしてLDまで手に入れた。
現在では音楽の版権の問題でDVD化は不可能と言われている「モロダー版」はサイレント映画の良さを損ねたとの評価もあるが、この作品の存在価値を世に知らしめた功績は大きい。

時は流れ、2001(平成13)年のベルリン国際映画祭で、新たに発見されたフィルムをもとに改めて復元作業とデジタルリマスターを施したヴァージョンが上映された。サントラも初公開時のものになり、ほぼ完全とまで言われた。2003年に米国でDVD発売。僕の蒐集癖は日本版の発売を待てずに米アマゾンで購入(日本では2006年に発売される)。

これで終わったかに見えたメトロポリス伝説だが、つい最近アルゼンチンでまた別の16mmプリントが発見された。修復を試みたらしいが、あまりに状態がひどく断念。2001年のデジタルリマスターに欠損した部分だけ挿入する形で再編集が施される。そして2010年、「完全復元版」としてDVDとブルーレイが発売される(日本ではブルーレイのみ)。
何も高い出費をして日本版ブルーレイを買うこともないので、円高の今のうちに米アマゾンで購入。さっそく観たが、挿入されたシーンは確かに雨ザーザーでフレームも小さい。が、これで完全体が観られたと思うと感無量。……かな? また新たな発見があるんじゃないのかな? どこまでもロマンを追い続ける一映画マニアのうんちくでした。


posted by 山崎達璽 at 18:02| 筆のすさび | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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