2005年05月06日

『黒蜥蜴』

ル テアトル銀座に『黒蜥蜴』を観に行く。7列目のセンターという大変結構なお席。大劇場の場合、と・ち・り(7・8・9)列目がベストポジションといい、なかなか取れないもの。昨日も9列目には及川ミッチーがいた。ミッチーはほんのりとお化粧をしていた(つまり9列目まで舞台がせり出しているという粋な演出だ)。 
江戸川乱歩の原作をもとに、三島由紀夫先生が戯曲化し、美輪明宏が当たり役するこの『黒蜥蜴』。僕が敬愛する全てのファクターが集結していると言っていい。僕はこの作品は、今やカルト映画の頂点といわれる映画版(監督:深作欣二)から入っている。これまであれはおバカ映画だと思っていたのだが、いやいや……。確かに少々下品ではあるのだが、あの舞台を映像という立体的な世界に持ち込むとああなるのはしかりであろう(ちょっとこれ以上は説明できません)。 
さて、この美輪さんの舞台版であるが、再演を重ねて徹底的に洗い上げられている。もはや「極め付き」だと言っていいだろう。全三幕、3時間強、圧巻である。すべて美輪さん。この一言に尽きるだろう。紙一重の演出だって、すべて究極の官能美に昇華させてしまう。三島先生の台詞は歌舞伎的だ。だから歌い上げなきゃいけない。それをあんなに情熱的に、かつ神秘的に聞かせられるのは美輪さん以外にいないだろう。美輪さんのほどのキャパシティを持った女形しかできないだろう。 
カーテンコールで3列目センターの女性客が立ち上がった(甚だ迷惑)。ゆっくりと拍手をする彼女が恍惚の表情を浮かべていたのは後ろから見ても分かった。長い長いカーテンコール、どんどん女性客が立ち上がった。スタンディング・オベーションである。美輪さんの、そのキャラクターと活動のすべてを称して、一つの宗教だなんて言われる。しかしこの舞台を観て思ったのは、美輪さんはその宗教のご神体かご本尊なのだ。物体としての存在が神仏なのである。 
いやあ、こんな素晴らしい舞台を観られる時代に生まれたことに感謝である。


posted by 山崎達璽 at 00:00| 観劇記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。