2010年01月08日

『海角七号 君想う、国境の南』

『海角七号 君想う、国境の南』を観る。台湾で空前のヒットをしたこの作品、だいぶ前から(親台の)産経新聞では話題になっていた。鳴り物入りの日本上陸と思いきや、都内ではシネスイッチ銀座のみであまり話題に上らず。かつて、いわゆる「南京事件」のカット問題で揺れた『ラストエンペラー』、アカデミー賞ノミネートにもかかわらず日本での公開がうんと遅れた『クンドゥン』などのように、この国はどこまで価値観を共有できない北京政府に媚びへつらうのか。なぜに文化に政治が介入するのか……そう思うだけで辟易する。
さて、この作品だが、なんだか不思議な魅力があった。日本のテレビドラマっぽさと韓流ドラマっぽさが漂い、ストーリーはとっちらかっているが、大団円に至るとなぜか感動が巻き起こる。世代や国境を越えて歌う『野ばら』にはほんのりと目頭が熱くなった。きっといい映画を作ろうという愛や情熱がそうさせているのだろう。


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2009年12月22日

『沈まぬ太陽』

先日『沈まぬ太陽』を観た。インターミッションを挟むぐらいの大長編だが、そんなに長さは感じなかった。日航機墜落事故を描いていることは明らかなのでテレビ局が参加しなかったのはよく分かる。よって客寄せのための訳の分からない芸人やらアイドルの出演はなし。このテーマ、スケールを実現したある種のストイックさ評価できる。
が、監督がテレビドラマの大御所。映像で語ろうとせず、台詞で全部語ってしまうあたりはやっぱり演出がテレビサイズ……。時代背景も作り込みがあまいし、特に愛人や政治家の描き方がどこまでも陳腐。あと、現在頭髪が寂しくなってしまっている主要キャストの若き日を再現するため、かなり無理のあるズラを被らせてるあたりがいただけない。へんてこな前髪になっていて失笑。
残念な大作である。
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2009年12月15日

『イングロリアス・バスターズ』

久々に映画を観た。日本の映画館はスクリーンに対して映写がずれたりしないんだなぁと安心してみたり。

さてさて『イングロリアス・バスターズ』。もういい加減にして欲しいクソ映画だ。『パルプ・フィクション』までのタランティーノはかなり買ってたけど、彼はあれまで。今回なんて最低最悪。何がって、要は人を簡単に殺しすぎる。蟻の巣に殺虫剤をまいて踏みつぶすかのように殺すわ殺すわ。しかも頭の皮を剥いだりしてわざわざ残虐に。シナ人がチベットやウイグルでやってることへの抗議という感じでもないし。
セックスやバイオレンスは映画ならではの表現であって、僕は頭ごなしに否定するつもりはない。でも、タランティーノはそれをいとも簡単に何度も何度もひどい手段でやり過ぎる。虚構とは思っても、真剣に観てる僕には耐えられない。
『パルプ・フィクション』まではストーリーの面白さでそれなりに許してたんだが……。
もちろん、観るべきところはある。全編を貫く会話劇の妙なんて実に秀逸。しだいに高まる緊張感や散りばめられたユーモアのセンス……。あと、燃え上がるスクリーンに浮かび上がる復讐の鬼と化したユダヤ人の女性の顔なんてすごく印象的だ。

でも、もういい、この監督。
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2009年11月05日

『サイドウェイズ』

『サイドウェイズ』を観る。文句なし、今年のベスト3に入るだろう。アカデミー賞受賞作のリメイク、しかも外国人スタッフと日本人キャストによる日米合作である。この手の映画は必ずオリジナルと比べてどうこうという議論が起こるが、僕にとっては愚の骨頂、そんなことはどうでもいい。オリジナルは観てないし、存在もよく知らない。
さすがに外国人監督だけあって、全編を貫く軽妙洒脱な空気感は日本人には作れないだろう。キャストと資本では日米合作だが、これは実質的には日本向けのハリウッド映画である。
出演者がみんな実にいい。いい味を出してるとはまさにこのことを言うのではないか。小日向文世と鈴木京香のキスシーンはぐっと来たなぁ。
「大人のためのほろ苦コメディ」が作品のウリ。しかし僕らはいつ、何をきっかけにして大人になるのだろう。いつ大人になったと感じるのだろう。
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2009年11月02日

『悪夢のエレベーター』

佐津川愛美さんが出てるということだけで何の予備知識もなく『悪夢のエレベーター』を観る。
かなりダークだがなかなか面白かった。物語の視点が誰にあるのかが今一つ分かりにくく、そこらへんのバランスの悪さはちょっと気になったが……。相変わらず佐津川さんは輝いてたなぁ。
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『This Is It』

『This Is It』を観る。
対米是々非々保守派とはいいつつも、しょせん僕はミーハーだ。中学の頃はマイケル・ジャクソンの『スリラー』や『BAD』を普及し始めのCDで聴きまくっていた。だからマイケルの死はショックだった。
リハーサル記録を中心にまとめ上げたこの作品はなかなかの名作だった。そりゃ僕らの抱くマイケル像を損なうことがないように慎重に取捨選択がなされているはずだが、それでもやはりマイケルは偉大だ。
マイケルはイヤホンを付けた状態で歌うのに慣れていなかった。返し(モニターの音)が大きすぎて歌えないとリハーサルを中断。現場に緊張が走る。マイケルは明らかに怒っていた。でも彼の口から出た言葉は「怒ってないよ。これはloveなんだ」。スタッフに対するlove、音楽に対するlove、まだ見ぬ観客へのlove……loveの一言にすべてが込められていて現場が和む。そしてもっともっといいものを作ろうというエネルギーが生まれる。素晴らしい瞬間だ。厳しくてつらいこともいっぱいあるけど、ものづくりは本当に楽しくて素晴らしいことだ。そんな空気感を観る者に心地よく体感させてくれる。
マイケルのファン、音楽ファンだけでなく、ものづくりに携わる人には是非観てもらいたい一作だ。
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2009年10月27日

『さまよう刃』

『さまよう刃』を観る。非常に良くできた作品である。内容の委細は略すが、物語をどう決着付けるか、このいたたまれない思いをどう収めてくれるか……映画としてはそこをポジティブな意味で悩ませてくれる。そのもって行き方が秀逸である。先週観た『ヴィヨンの妻』は後半ずっとそこをネガティブに悩ましてくれたが……。
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2009年07月13日

『劍岳 点の記』

『劍岳 点の記』を観る。うーん、大キャメラマン木村さんの気迫はよく分かるが、申し訳ないが作品としては今一つ……。
体を張って作ったその無骨さが観客に厳しい。地図を作るために山に登るだけのストーリー、最初から分かってはいても冗漫で飽きる。音楽のセンスが古臭い(『海はみていた』がそうだった)。CGを一切使わず大自然に体を張ったことはよく分かるが、それを1カットで観客にアピールするためにズームやパン、ティルトを多用してて、これもまた古臭く感じてしまう(『Beauty 』でも思った)。
木村大作が厳しい大自然に挑んだことをさんざん刷り込まれて観たから、その苦労を感じ取れたが、予備知識なしで観たら、適度にCGを使って分かり易くした方が観客はもっと感動するだろう。いくら本物をそのまま撮ってもリアリティはない。たとえ嘘でも観客が“本物らしく”みえるところにリアリティは存在する。若輩者ながらこれが僕の映画作りの信念だ。
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2009年06月01日

『ブッシュ』

『JFK』『ニクソン』と近代のアメリカ大統領を描いてきたオリヴァー・ストーンの新作『ブッシュ』を観た。大して話題になることもなく地味に公開している。
是々非々ではあるが、僕は保守派としては反米主義。「こんな世界に誰がした?」と聞かれたら、即座に「ブッシュ、オマエだ!」と答えてしまうぐらいブッシュはキライ。しかしこの映画を観てると、そんな彼がちっぽけで冴えない。小馬鹿な描き方をし過ぎている。
うーん、タイムリーな題材なだけに急拵えで予算が足りてない印象。人間ドラマなのか暴露モノなのか、そのどちらも中途半端。どのキャラクターも容姿を似せているから、『TVタックル』の再現ドラマを豪華にした程度の出来。
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2009年05月18日

『天使と悪魔』

『天使と悪魔』を観る。
前作と比べてどうとか、原作よりいいとか悪いとか……宣伝の煽りもあるが、そんな論議はナンセンス。映画の見方を知らない愚かな行為である。これはロン・ハワード監督の新作映画であって、それ以外のナニモノでもない。
しかし、よくもまぁこんな映画を作ったものだと感服。目眩く謎解きとアクションはジェットコースター・ムービーの王道。さらに終始一貫して知的好奇心を刺激し続けるところも絶妙。歴史好きとしては後者を見失わない姿勢に感動すら覚えてしまう。
知識がないと分かんないよと食わず嫌いだったり、途中から観ることを放棄してしまう観客はいるだろう。しかし歴史的・宗教的知識があるのと知的好奇心を持つのとは別の問題であって、そこをごっちゃにしてるバカは多い。そりゃ両方持ち合わせてりゃ一番楽しいが、専門的知識がなくても、義務教育の社会を修め一般常識があれば分かる作りにはなっているはず。分からなきゃ調べろよといいたい。
現代の観客は受動的に映画を観ることに慣れすぎている。時に能動的に観なければ、この先日本人はどんどんバカになるだろう。
posted by 山崎達璽 at 14:24| 映画レヴュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月14日

『グラン・トリノ』

『グラン・トリノ』を観る。クリント・イーストウッドの監督作品は毎度生理的に合わない。あの独特の枯れたリズムがどうにも好きになれない。が、今回はそこまでは思わなかった。何もかもが面白くなくて文句ばかり言ってる偏屈じいさんの造形なんて、まるで自分の近未来をみているようで◎。そして人生に対する決着の付け方としてのラストも秀逸。
ただ……。
クライマックスの描写一つで作品の感じ方が変わってしまうことがままある。例えば『ラスト、コーション』。トニー・レオンが車に飛び乗るところがコントにしか見えなくて一気に興ざめ。『グラン・トリノ』も僕の人生のなかでそういう意味で残念な作品である。人が無惨に殺される描写がダメ。ことにそれがクライマックスに来てしまっては、僕としては耐え難い。
posted by 山崎達璽 at 20:54| 映画レヴュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年05月07日

『GOEMON』

『GOEMON』を観る。正直なところ期待はしていなかった。が、これがこれがなかなかの傑作。うん? 傑作と断言していいのか……今日はまだ興奮冷めやらぬ状態なのでそう言っておこう。
予告を見る限り美術や衣裳がハチャメチャだったので、これは日本の歴史の設定を借りただけのオリジナル・ストーリーだろうと思っていたが、いやいやそんなことはない。ポイントポイントでは史実を踏まえていて、その脱線の仕方や戻り方のバランス感覚が秀逸。名うての予備校講師が講義を脱線して、どんどんと外していってしまい、ふと「ちょっと脱線し過ぎました」と言って本線に戻る、あの瞬間の気持ちよさに近い。
とにかく作品全体を貫く美術様式がすごい。僕の好きなチャン・イーモーの『HERO』をもっと進化させて日本に置き換えたようだ。シネスコのスクリーンいっぱいに広がるそのビジュアルだけで充分価値がある。そこははなまる。
特筆すべきは織田信長を演じた中村橋之助。本作では信長が主人公たちにとっての正義になっている。その立ち位置を踏まえた精神性の造形が実に巧み。『敦盛』を舞うところなんて鳥肌が立った。
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2009年04月28日

『おっぱいバレー』〜男子は万年中二である

いよいよ『おっぱいバレー』を観る。
懸念の受付でタイトルが言えるかどうかは、結局「っぱぃバレー」とお茶を濁す。後ろのおばさんは堂々と「おっぱい」とだけ告げていた。
さて、改めて男というものは万年中二男子だと思った。この映画の設定は中三だが、高村光太郎の『道程』で童貞を連想したり、走る女教師のシャンプーの匂いを嗅いだり、雨にあたった女子の体操服の透けブラを見つめたり……エロにまつわる発想やら行動パターンが僕らとまったく一緒だ。男子は中二で形成されそれが一生続くのだと思う。
時代設定は昭和54年。美術・装飾や挿入歌、それに映像の色味はそれを意識しているが、芝居、特に台詞はあくまで現代調。
映画としてはまあまあだが、上述の「男子万年中二論」を的確に表現してくれたので◎。綾瀬はるかははなまる。
posted by 山崎達璽 at 19:33| 映画レヴュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年04月27日

『スラムドッグ$ミリオネア』

シャンテで『スラムドッグ$ミリオネア』を観る。あまり期待していなかったのだが、これが◎。
十数年前、猿岩石につられて白い雲のようにインドをバックパッカーした。神経質な僕にどだいその猥雑さに耐えられるはずもなく、人生最低の旅となった。祖父の遺骨を持ってブッダガヤーに参り、ガンジス川にそれを流そうと思ってはいたものの、モチベーションが萎えてしまってどちらも実行せず……と、インドにはまったくいい思い出がないので、果たしてスラム街の描写に耐えられるか心配だった。うーん、確かにいい気はしなかったなぁ。
まあ、いいや。なぜこれが◎か? 『ニュー・シネマ・パラダイス』に匹敵するぐらいの極上のメロドラマだからだ。彼女のために男が一生懸命になる。そんなシンプルなストーリーでも彼女が美しければそれで万事OKだ。ホントに彼女が美しくて美しくて。
エンディングにはインド映画お馴染みのダンスシーンのおまけ付き。主演二人のダンスがうまくないけど、いやいや彼女が美しいからそれもOK。
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2009年04月23日

『ワルキューレ』

『ワルキューレ』を観る。うーん、何とも言い難い。歴史劇の悲しい性で、作戦失敗という結末が分かっていながら、2時間結構はまった。だからなかなか良質のサスペンス史劇と言える。ただ、トム・クルーズはこういう痛めつけられる将校をやるのが好きなんだなあと辟易してしまったり……。
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2009年04月20日

『フロスト×ニクソン』

最近忙しくてなかなか映画を観られなかったのだが、今日は久々にシャンテに行き『フロスト×ニクソン』を観る。
フロストは現代日本で言えば小倉さんあたりか。小倉さんが田中角栄にインタビューを仕掛けると言えば日本人には分かりやすいだろう。
フロストが終始軽い。軽いと言っても軽佻浮薄ではない。ニクソンが悪でフロストが正義の味方の勧善懲悪にはしていないのだ。二元論で物事を語ろうとしないあたりが、メディアとはなんぞやというこの映画のテーマを巧みに描いている。非常に骨太で見応え十分。それでいて娯楽性を忘れていない。
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2009年03月24日

『ヤッターマン』

調子に乗って『ヤッターマン』を観てしまった。
作品の出来の良し悪しは別にして、生理的にリズムが合わない映画がある。例えば『真夜中の弥次さん喜多さん』や『舞妓Haaaan!!!』なんてそうだ。『ヤッターマン』もまさにそういう映画だった。冒頭の戦闘シーンでこれはダメだと感じ、結局そのまま終わってしまった。以前も書いたが、『K-20』なんかは冒頭で一気に引きつけられたおかげで、やや力業の展開があっても最後までどっぷりと浸れた。
僕の世代にとって『ヤッターマン』はアニメと言うよりテレビまんがだ。テレビまんがはテレビまんがのままがよかったのでは……と強く思ってしまった。

しかし福田沙紀ちゃんが可愛い。ちょっとゴツゴツっとした顔の造形がツボでした。
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2009年03月12日

『花の生涯〜梅蘭芳〜』

新宿ピカデリーに『花の生涯〜梅蘭芳〜』を観に行く。
一律2000円とは配給会社も強気だ。ちょっと前の産経新聞に批判的なコラムがあった。大幅にカットされてるからストーリーがつながっていないとか。覚悟はしていたが、2時半近い上映時間は全然苦にならず。その世界の美しさにただただうっとりさせられた。2000円も納得できる。
『レッド・クリフ Part I』はクソ以外の何物でもないが、くれぐれも僕はシナのすべてを否定しているわけではない。政治と芸術は別だし、やはりいいものはいい。
伝統芸能における保守と革新をテーマに師匠との対決を描いた第一部。男形(宝塚的なものが京劇にある)との道ならぬ恋を描く第二部。日本軍の政治利用を拒む第三部。
どれも内容はズシリと重い。やはり大幅カット故か凝縮されすぎていたり、あっさりしすぎていたりとどこかしらの不安定さは否めない。これは脚本の段階で刈り込むべきであって、編集でやるべきことではない。古今東西よくある話ではあるが……監督は脚本を拠り所として撮っているのであって、それはそれはしんどい作業だっただろう。
それでもこの映画は素晴らしいと言い切れる。完全版の公開を望む。そのときは一律3000円でも結構。
posted by 山崎達璽 at 16:28| 映画レヴュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月08日

『K-20 怪人二十面相・伝』

『K-20 怪人二十面相・伝』を観る。
日本のバットマンを狙ったと思われるが、それは見事に成功。しかもただの猿真似になってない。「病んでるアメリカ」(←水野晴郎閣下が好んで使ったフレーズ)をただ日本に置き換えたのではなく、情緒の部分を強く押し出しているように感じた。
大本営発表のラジオ放送に始まり、太平洋戦争は回避されたというオープニング。これは映画史に残る傑出したアヴァン・タイトルと言っていい。荒唐無稽なヒーローものはいかに巧く観客を世界観に引き込むか、作り手はそこに心血を注ぐのだが、これはわすがな音と字幕でそれを見事やってのけている。ゴッサムシティなんか目じゃない。そういう意味じゃすでにバットマンより数段上なのかも(日本は決して病んでいないのだ)。
二転三転するストーリーはやや強引だが、オープニングですっかり魅せられてしまった僕は終始楽しくて楽しくて。言ってみればナンセンスも乱歩の味だ。
そしてキャスティングがまたいい。一見アンバランスな金城武と仲村トオルの二枚看板も國村さんが入ることによって一気に絶妙なものになってしまう。松たか子ほかの脇役陣も非常に魅力的。

エンド・ロールに乱歩の遺族の名前があった。筋の通し方が実に美しい。いわゆるスピンオフに冥界の乱歩は大喜びに違いない。
posted by 山崎達璽 at 23:42| 映画レヴュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年12月31日

2008年の総括

2008年に劇場で観た映画は以下の通りである(配給会社別)。

○松竹
おくりびと ◎

○東宝
映画 ドラえもん のび太と緑の巨人伝
隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS (無)
ザ・マジックアワー △
崖の上のポニョ ××
劇場版ポケットモンスター ダイヤモンド・パール ギラティナと氷空の花束シェイミ
容疑者Xの献身 ◎
私は貝になりたい

○東映
茶々 天涯の貴妃
相棒―劇場版― 絶体絶命!東京ビッグシティマラソン42.195km

○角川映画
次郎長三国志 ×

○その他
魍魎の匣
明日への遺言 ○
接吻
僕の彼女はサイボーグ
ぐるりのこと。
スカイ・クロラ The Sky Crawlers ◎
ラストゲーム 最後の早慶戦
ICHI 市 (無)
GSワンダーランド ◎

○外国映画
ラスト、コーション
マイ・ブルーベリー・ナイツ ○
モンゴル
王妃の紋章
幻影師アイゼンハイム
インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国 ×
ダークナイト ○
セックス・アンド・ザ・シティ ○
最後の初恋
P.S.アイラヴュー
センター・オブ・ジ・アース
レッド・クリフ Part I ××
posted by 山崎達璽 at 23:59| 映画レヴュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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